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施工管理の仕事の魅力⑥


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未来へと続く建築:施工管理者が残すもの

施工管理者の仕事は、常に「今」に縛られている。工程表に記された日付、資材の納期、職人の配置、天気の変化。すべてが「今日どうするか」に結びつく。だが、その連続の先に生まれるのは、数十年、数百年にわたって使われる建物だ。施工管理者が日々判断していることは、未来に影響を与えている。

ある中学校の改修工事に携わったとき、施工管理者は思った。この教室で子どもたちは未来を夢見るだろう。新しい廊下を走り、体育館で声を響かせる。自分が調整した壁や床は、彼らの記憶の一部になる。その記憶は、やがて大人になっても残り続けるかもしれない。

未来を作るとは、大げさな言葉に聞こえる。だが、建物が未来に使われることを思えば、それは誇張ではない。施工管理者の判断ひとつが、人の生活の安心や快適さにつながる。誰かが安全に眠れること、誰かが安心して働けること。それらを可能にするのは、数え切れないほどの判断の積み重ねだ。


施工管理者は未来を見据えているわけではない。むしろ、未来を意識する余裕はほとんどない。だが、彼らが過ごした日々は結果として未来に届く。図面に赤鉛筆で書き込んだメモも、現場で誰かにかけた短い言葉も、建物のどこかに反映される。それは時間を超えて、まだ見ぬ誰かの生活を支える。

一人のベテラン施工管理者はこう言った。「俺が死んでも、この建物は残るんだ。それで十分だよ。」

彼の言葉は虚勢ではなかった。施工管理者にとって、名前が消えても建物が残ることは救いであり、誇りでもある。未来に残るのは、自分の姿ではなく、建築そのものだ。

ただ、建物だけではない。未来に残るのは「人」でもある。施工管理者は次の世代に仕事を伝える。若手に声をかけ、図面の読み方を教え、トラブルへの対処を体で覚えさせる。その過程で受け渡されるのは、マニュアルに書かれていない知恵と感覚だ。未来に残るのは、建物だけでなく、技術と精神でもある。


街を歩くと、過去に携わった建物に出会うことがある。その前を通るたびに、当時の記憶が蘇る。汗と埃と、怒鳴り声と笑い声。誰も知らない物語が、そこには眠っている。その物語を背負いながら、人は次の現場へと進む。

施工管理者が残すものは、目に見える建物と、目に見えない時間の両方だ。どちらも等しく価値がある。人々が建物を使い続ける限り、その影には施工管理者の存在がある。未来の誰かが安心して過ごせるなら、それは確かに彼らの仕事の成果だ。

施工管理という仕事の魅力は、この「未来への連続性」にある。完成は終わりではない。完成の先に続く生活、未来の人々の時間。そのすべてを想像しながら、施工管理者は今日の判断を積み重ねる。

彼らは未来を作っている。そのことを声高に言う必要はない。静かに、確かに、建物とともに未来に残っていく。


 
 
 

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