施工管理の魅力③
- A&G Company
- 2025年9月5日
- 読了時間: 3分
トラブルとの対峙:予測不能な現場のリアル

建築の現場には、必ず「想定外」がある。施工管理者は毎日それに直面し、対処する。
むしろ、想定外がない一日など存在しないと言っていい。
ある冬の朝、木造新築の建方工事が行われていた。クレーンで吊り上げられた材木が、静かに空を舞う。風はほとんどなかったが、気温が低く、木材は冷えきっていた。作業は順調に進んでいた。だが、一本の木材が予定通りにボルト穴に合わなかった。わずか数ミリのずれ。それは人間の目にはほとんど見えない誤差だ。だが現場では、その誤差がすべてを止める。
作業員たちはクレーンの下で立ち尽くす。時間が止まったように見える。だが、クレーンのオペレーターは待てない。吊り荷は空中にある限り危険だからだ。施工管理者はすぐに判断を迫られる。穴を広げるか、部材を調整するか、別の工程に移るか。どの選択もリスクを伴う。ほんの数分の判断が、その日の作業をすべて左右する。
施工管理の仕事は、こうした「数分の判断」の積み重ねでできている。トラブルは予兆もなく現れる。資材の納期が一日遅れるだけで、現場の人員配置は総崩れになる。作業員の一人が体調を崩せば、その日の作業手順は組み替えられる。雨が降れば、外部工事は中止。だが、工期は動かない。時間は待ってくれない。
ある夏の日、突然の豪雨が現場を襲った。足場のシートが風にあおられ、倒壊の危険が生まれる。施工管理者は叫ぶ。「作業中止! 全員避難!」 その声は雨音にかき消されそうになるが、職人たちは素早く動いた。数分後、風がさらに強まり、シートの一部がはがれた。もし避難が遅れていたら、重大な事故につながっていたかもしれない。
トラブルに直面したとき、施工管理者は「冷静さ」と「即断力」の両方を求められる。パニックになれば判断を誤る。だが慎重すぎても遅すぎる。決断はいつも不完全で、リスクを伴う。だが、その不完全さの中で最善を選び続けるしかない。
興味深いのは、こうしたトラブルが、現場を「一つのチーム」にするきっかけになるということだ。平常時、職人たちはそれぞれ自分の作業に集中している。互いに言葉を交わさないことも多い。だがトラブルが起きた瞬間、彼らは一斉に顔を上げ、目を合わせる。そのとき、現場はひとつの有機体のように動き出す。施工管理者は、その中心で判断を下す。責任は重いが、その瞬間の一体感は、ほかでは味わえない。
トラブルは施工管理者を鍛える。計画通りに進む現場では、人は成長しない。むしろ、失敗や混乱の中でこそ、管理者としての資質が磨かれる。冷たい雨に打たれ、汗にまみれ、怒号と笑い声の混ざる現場で、彼らは少しずつ「現場を読む力」を身につけていく。
施工管理という仕事は、トラブルと切り離せない。だが、それは決して「不運」ではない。むしろ、そこにこそ魅力がある。予測不能な出来事に立ち向かい、それを解決し、前に進める。完成した建物には、そうした無数の「乗り越えた瞬間」が埋め込まれている。誰も気づかないが、その建物を支えているのは、施工管理者が下した無数の判断なのだ。
トラブルは、建築という行為の一部である。だから、施工管理者にとってそれは恐れるべきものではなく、むしろ向き合うべき対象だ。想定外の出来事は、建物をより強くし、施工管理者をより成熟させる。そのプロセスは厳しいが、美しい。






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